「……愛美さん、綺麗ですね」
薄暗い砂浜を歩いていた時、ふいに太郎が声を掛けた。
「えー?この顔で?」
あたしはわざとらしく自分の顔を指差した。
「はい。でも綺麗です。」
「あははっ。ありがとねー。
あんたは口が上手いね〜」
「……良かった、愛美さん笑ってくれて。」
「え?」
背後で思いもしない事を言われて振り向くと、太郎は優しい眼差しでじっとあたしを見つめていた。
………温かい、優しい目。
綺麗で澄んでいる……あたしなんかとは真逆の目で。
─────……ザァァァン……
「───愛美さん……
いつも寂しそうだけど今日は……
何だか、そのまま崩れてしまいそうだったから」
─────……ザァァァ…
「……愛美さん、ここだったら泣いていいんですよ。
誰も愛美さんが泣いてる姿見ませんから。」
─────ザァァァ……
「思う存分泣ける場所、探すの苦労しました」
ポツッ……
ポツッポツッ……
砂浜に、涙の雨が降る。
本当だ、ちょうどいい。
波が、涙が流れる音も消してくれる。
やな思い出も、好きな人もマキも
何もかも、全部全部…
「─────ふっ………
─────〜〜〜う〜ッ………」
この泣き声も、消してくれる。



