DEEP BLUE



「あ…あれ………?」




─────夢………?




目を覚ますと、あたしはまるで夜の世界から帰る馬車の中……じゃない。



太郎の送迎してくれている車の中で眠っていたみたいだ。




「愛美さん、大丈夫ですか?
何かうなされてたみたいですけど」




目の前には太郎が心配そうにあたしを覗き込んでいる。





「あ……あぁ、うん……大丈夫………
飲み過ぎただけ………」





テキトーに言い訳を言って、重た過ぎる頭を抱えた。




参ったな……。


またあの悪夢を見ちゃった。



それに今日は一日疲れてクタクタだったのもあるからかもしれない。


おまけに、今日はマキやクラスメイト達から派手にイジメを受けたのもある。


原因が分かってる上に、この悪夢付きだから後味が悪い。



ふぅっと息を付き、背もたれに深くもたれたところで







「………愛美さん、ちょっと気分転換に車から降りませんか?」





「………え?」





気分転換?




唐突に言われた言葉に驚いてあたしが頭を上げると……




ニコッと笑い、前を指差している太郎と目が合った。











「─────着きましたよ、海。」




「え……?」





海………?




カチャっと開いたドアからは、ザァッ……と聞こえる波音と目の前には真夜中の黒い海の姿が広がっている。



……ウソでしょ。

ほんとに海に来ちゃってるじゃん。




「え……?
え?でもどうして……?」





戸惑うあたしを見てくすっとイタズラに笑う太郎はあたしの手を取り



  
「前に行きたいって言ってたじゃないですか、海。」



「いっ、いや……そうだけど………!」



「ちゃんと行くか、さっき聞きましたよ?」



「うっ嘘だぁ!あたし聞いてないよ!!」



「……だって愛美さん寝ちゃったから」



「………うっ。」



「まぁまぁ♪せっかくだから行きましょう♪ね?」




「・・・」






口を尖らせているあたしの手を、太郎は優しく引いて車から外へと連れ出した。