夜で良かった。
暗いから、蹴られて出来た顔の傷とかが見えないもん。
しかも太郎は街灯がない暗さから、全くあたしの顔の傷には気付いてないみたいだ。
「愛美さん、今日は早いんですね」
「………稼げないからね」
「え?」
サッと後ろを振り向いた太郎の視線を、逃げる様にうつ向いてかわした。
……それでも、流れる対向車のライトに照らし出される酷いあたしの顔。
その光で映し出されたあたしの顔は、きっと醜くて汚いんだろうな。
あのとき言ってくれた綺麗なんて言葉には、程遠い。
「……愛美さん……?」
「……あはっ…。ご、ごめんね……」
………限界だ。
限界ってこのことなんだ、きっと。
その二文字が頭をよぎり、目を閉じたところで太郎は車をゆっくりと動かし始めた。



