行こうとしていた場所に人が群がり、あたしは床に押さえつけられる。
もがいてももがいても、それを阻止するかのように押さえつけられて、やがてあたしは諦めて抵抗するのをやめた。
その姿に満足し、上からニヤニヤ見下ろしているマキが目に入り、一気に嫌気が差した。
………一刻も早く解放してほしい。
「……そんなふざけた態度だから、“あの人”にも捨てられるのよ」
「……」
胸が、ズキズキする。
「あれぇー?……やだ。
もしかして、まだあの人を寝取ったこと根に持ってんの?」
「……」
心の底から憎い、と思った。
「あれはあたしが悪いんじゃないからねぇ?
アンタに愛想尽かしてたんだし、仕方ないじゃない」
触れて欲しくない場所を、いきなり無理矢理荒らされた様な感覚に陥った。
ましてこんな奴の口から、あの人のことを聞きたくなかった。
そのうちクスクスっと笑うマキに合わせて、取り巻き達も下品に笑い出す。
逃げ場がない、囲まれた輪の中……。
─────バキッ!
「………っ、ゔっ……」
いきなりの衝撃に、ごろりとその場所にうずくまる。
身体にも心にもクリーンヒットをかまされ、あたしは立ち上がる気力もなくなっていった。
ふいに背中を蹴られたところが、熱いくらいの痛みに変わっていく。
それでこの暴力が終わればいいけれど、終わりではなく始まりの合図だった。
「…あははっ、ちょーおもしろーい」
その中でまるで虫ケラを扱うみたいに、何度も何度も執拗に蹴られ続けた。
逃げられないって力ずくで分からせるかのように。
……あたしは逃げないのに。
いや………逃げられないのに、の間違いか。



