─────それは………
「愛美さん!ほらこの前言ってた曲、オレあれから聞いて覚えたんですよ♪
───────浜崎あゆみのMoments!」
その当時、毎日聞き続けていた曲。
酔っ払っていても不思議なもので、あたしは流れるイントロに耳を澄ませていた。
──────昔の事を……
あの人との思い出を、頭に巡らせながら。
“これ歌って♪Moments♪”
“浜崎あゆみ?キー出るかな?”
歌ってくれた、その時の事を。
あの人は、バンドのヴォーカルをしていたからキー出るかな?とか言いながら、いざ歌ってみたらバッチリ声出てて高得点まで出して。
泣いちゃうくらい、上手かった。
───────ポツッ……
ポツッポツッ………
ふいに涙が溢れて、冷たいコンクリートに落ちて行く。
「───────…♪♪…」
太郎が歌い始めて、ヘッタクソな歌が聞こえて来た。
……何だソレ、笑えるんだけど。
ってかこれ思い出の曲なんだけど、浸りたいんだけど。
ポツッポツッ、と涙が溢れては太郎のヘッタクソな歌に笑ってしまった。
「───────♪……………!?
はっ!愛美さんどうしたんですか!!泣いてる!?」
「………うん、ちょっとね……」
「すみません!!
オレ泣かせるくらい上手かったですか!?」
「………ちがうし、やめてくれる?ヘタクソ。」
「へっ、ヘタクソ!?」
ガーンとショックを受けている太郎を見て、思わずくすくす笑ってしまった。
……ほんと。
へったくそ。
───────…下手くそ過ぎて泣けてきちゃうよ。



