DEEP BLUE




「……あ、そうだった。」




走る車の中、あたしは一つ気掛かりだった課題を取り出した。




───────カチッ。




車のルームランプを付け、頼りない光に目を凝らしサラサラとペンを走らせる。 





「?愛美さん何してるんっすか?」



「んー……ちょっと学校の課題をね。
これ明日提出でもう出来そうだったから……」



「え、愛美さんって学校行ってるんっすか?」



「そーだよー。
こう見えてもお昼はれっきとした学生だよ〜。」



んーと口を尖らせ、たまにハッと思いつき課題のプリントに解答を書き込みながら太郎の質問に答える。



太郎はそんな様子をチラチラと確認しつつ、合間合間に声を掛けてきた。




「何の勉強してるんですか?」


「えー?歯科だよー」



「え!!医療系ッスか!?歯医者さんですか?」



「んな訳ないじゃーん、違うよ」




変わらずサラサラとペンを走らせるあたし。




………不思議だな。



いつもなら“シンデレラー♪”とか言ってふざけて流すのに、太郎にはサラッと本当のこと話せちゃうんだもん。




太郎には、不思議な力があるのかな……なんて。





課題を終わらせ、カバンにしまうと太郎の視線に気付き、あたしは顔を上げた。




「え、何………?」




「いえ、愛美さんって意外と真面目なんだなぁって感心してしまって」



「意外って……失礼ね、アンタは」



「すみません」



くすくすと笑みを漏らし、ゆっくりとハンドルを切る太郎。



いつもは子供っぽい笑顔が特徴の太郎なのに。




時々……こうやって垣間見る大人っぽい太郎の仕草が、あたしの好きな人を連想させた。