「な……何で笑うの?」
「いや、だって愛美さん、一応嬢なのに……褒められ慣れてないんですね」
「ほ、ほっといてよ」
くすくすと笑う彼が………更に笑うと可愛い顔付きになる。
例えれば、子犬のような無邪気な笑顔。
………ホント、見れば見るほど犬みたいだ。
「───────太郎………」
「は?」
「君の名前。太郎ね」
「え!?何でっすか?!」
「ワンコみたいだから」
「い、犬っ…⁉」
ギョッとした彼を見て、あたしはニヤっと笑った。
「いや、あのっ太郎はマジやめてくださいよ……」
「あたしをバカにした罰ですよーっだ!
あんたは太郎だ、タ・ロ・ウっっ!!」
「さ、最悪だ〜……!タロウ……。」
シュン、とした彼……
もとい、太郎を見ると……その姿がますます子犬を連続させ、ワンコの的を得たピッタリ過ぎるあだ名だった。
─────これが、あたしと彼………
ニックネーム、“太郎”の出逢いだった。



