DEEP BLUE




明るいブラウンの髪はくしゅくしゅとカールがかかっていて、パリッと着こなした白いシャツが印象的な彼。



昨日まで送迎してくれていた、ちょっと年配のおじ様とは明らかに違う。



え、誰………?



見たことない彼の後ろ姿を、一体どれくらい見つめていたのかな。



彼はそんなあたしに気付いたのか、パッと振り返った。




「……愛美さん、ですよね。初めまして。
今日から送迎務めさせてもらいます。宜しくお願いします。」



「あ、はぁ……新しい、ボーイ?」



「うーんどっちかというと、ホント運転手です。」



「へぇ……」




あたしにニコッと笑うその顔が………




単純に可愛い顔付きだな、と思った。



クリクリっとした大きな丸い瞳や、白くて綺麗な歯並び。


クセのない、万人ウケしそうな香水の香り。


ニコニコっと屈託ない笑顔で笑う彼は……明るい喋り方からすると、何だか人懐っこそう。



今のあたしには、あんまり関わって欲しくないタイプかも……。





「じゃ、出発しますね。今日は愛美さんだけなんで」



「はーい」




あたしの返事を聞き、車はゆっくりと動き出した。




深夜といえど、車が流れる数はあまり少ないとは言い難い。




今日はあたし一人か、気まずいな……。




そうボンヤリと思い、おもむろにカバンからイヤホンを取り出して音楽を聞く。



あくまでも会話回避の為だったのに……





「あ♪音楽、何聞いてるんっすか?」






え!!


ま、マジで話し掛けてきた………




彼は空気を読めないのかどうなのか………
定かではないが、簡単に質問を飛ばして来た。