「あっ愛美ちゃん!!会いたかったよ〜」
「も~堂島さんったら。
でも私の方がもっともーっと会いたかったですよぉ♪」
「あはは、うまいなぁ愛美ちゃんは。
じゃあこのオススメの最高級のやつ開けちゃおうかな。」
「やったぁ♪ありがとう〜」
……男って、バカみたい。
ちょっと気のある事言ったらこれだもんね。
………あたしの好きだった人も……
こうやって寝取られていったのかな?
シュワシュワ………
透明なグラスに注がれたシャンパンの、シュワシュワと音を立てて消えていく様を見ながら、ふとそんな事を思っていた。
シャンパンが注がれる瞬間が好きだから、ついついいつも引き込まれて見ちゃう。
まるでグラスの中が海みたいだから。
ドボンって勢い良く海に飛び込んだ瞬間の、身体が沈み込むと現れるあの泡の飛沫にどことなく似ている。
それはこの世界に入り込んだ時から、初めてシャンパンを入れてもらった時にいつも思っていた事だった。
「ねぇ愛美ちゃん?」
そこでハッとして、あたしはグラスの海から現実の世界に呼び戻された。



