………あたしには、大好きで仕方のない人がいた。 




透き通ったでもちょっと低い声も、

抱きしめられたら香る、甘い香水の香りも、

ずっと見ていたくなる笑顔も。





大好きな声で、あたしの事を好きだと言ってくれた。




あんなに人を好きになったのは初めてだった。


こんなに人を信じたのも初めてだった。






同時に、あたしには毎日一緒に笑い合っていた友達もいた。




趣味や好みが合い、たちまち意気投合した……
大好きだった友達。



心の底から信頼してた。






……でもある日。





あたしは友達と好きな人を、二人同時に失った。




その友達が、あたしの好きな人を奪ったから。






言葉で言い表せないくらいの衝撃だった。  


初めて人の怖さを知った。





信頼していた二人からの裏切りは、計り知れない程の痛みとショックをあたしに与えた。





……だからかな。




もう、あたしは誰も信じなくなった。


いや、“信じたくなくなった”。





どれだけこちらが信頼していても、裏切る時は平気でそうやって裏切っていく。



笑って手の平を返すんだから。



なら、初めから信じない方がマシ。



だからここは、あたしにはピッタリの場所。





うわべだけの言葉と、嘘と偽りで着飾った笑顔が許されるから。