「あっ美優、光樹も! よかったよー、お疲れ!」 ステージを降りたところで、杏里が笑顔で手を振った。 杏里はこの後、閉会式で、司会をやるって言っていた。 そうして幻想世界はやがて、あっけなく終わりを告げる。 残るは片付けだけ。 「……この衣装、どうするの?」 「え? あぁ、美優にあげるよ」 いりません。 ……なんて言えるはずもなく、けれど捨てるのも悪い気がして、あたしはそれをかばんに入れる。 中学校の文化祭の思い出として、とっとくか。 しばらくすると、学校は、今までの風貌を取り戻した。