ギター部の恋愛事情

 反論をした上田に対して、拓人は、「上田それはない。だって、俺に聞かれて、そうかもしれないって思ったから、そうしたんやろ?」と言い、一真は、「そうやな、上田はそれがデタラメだって思ったら気にせんやん。」と言い、壮吾は、「だから上田は大沢さんのこと無視したんじゃない?」と言った。

 上田は三人から言われて、戸惑って、「え、そうなんかな?」と言うと、拓人と一真と壮吾はそれぞれ「それに、二人の会話すごく息があってていいと思うで、」「上田がボケで、女が突っ込んでいい組み合わせやで、」「とりあえず、俺らが上田に伝えたいのは、二人はお似合いだってこと。」と言った。三人は敢えて大沢さんが脈ありかもしれないことを言わなかった。間違ってる可能性もあったけど、自分の気持ちは自分で気づいて欲しかったから。上田は、「え、そんなわけ、」と言って、三人が言ったことを認めたくなさそうだった。「もう一回考えてみ?」と拓人が言って、上田は「分かった。」と言って少し考えてみることにした。

 上田は、三人に言われたことを思い出しながら考えた。

 いやいや、考えてみと言われても、どんだけ考えても、大沢琴葉(ことは)のことは、鬱陶しいやつとしてしか気になどなってないし、恋なんかになるわけない相手だと思っている。最近話せなかったのは、恋じゃなくて、あいつらが茶化して来るからだ。確かに、大沢琴葉の突拍子もない行動が何故か気になったり、心配したりしているのをいじることで隠しているような気がするが、それは恋ではない。ただ、先輩として、?

 え、俺は、いじることで気になっていることを隠しているのか?恋としてでなければ隠す必要はないはず、つまり、俺は、(あいつ)のことが好きなのか?恋愛として、

 上田は、考えに考え抜いた結果自分は大沢さんのことが好きなことを知ったが、まだ、認めたくない気持ちの方が大きかった。