ギター部の恋愛事情

 私は、最初で最後かもしれないデートで、理由もなく涙が出てきた。映画の途中だったのできっと一真は気づいていないだろう。大好きな推しが初主演で泣いているのか、映画の内容で泣いているのか、一真とこうやって出かけることがもう二度とないかもしれないことに泣いているのか分からなかった。

 映画のあと、昼ご飯を食べた。その後私たちは一真の家に帰って来た。一緒に晩御飯を食べ、お互い何も言い出せないまま、日付が回ろうとしていた。

 でも、今日私は一真の気持ちを聞かなければならない。一真が恋ができないのなら、私は前に進むべき、そう思うけれど、一真と過ごせなくなるのが嫌で、聞くのが怖かった。

 日付が回って少ししたころ、一真に「眠い?」って聞かれた。私は、「話したいことが話せるまで帰れない」と言った。そして私は、覚悟を持って聞くことにした。

 「あれから、一緒に過ごして、お互いのこと知れたと思うんだけど、もし、私のことどう思うか分かったなら教えて欲しい。」私がそう言うと一真は、「一緒に過ごす時間が増えて、僕は日葵ちゃんのことが好きになった。だからこれからもそばにいてください。」と言って私たちは付き合うことになった。

 私自身誰かと両想いになるのは中1ぶりで両想いってどんな感じなのか分からなかったけど、一真と同じ気持ちで過ごせている今が最高に嬉しくて、あの喜びは一生忘れないだろう。

 それは、8月最終週のことだった。私たちが出会ったのは、10月前半、私の世界が変わってから10か月かけて私は一真の彼女になれた。