ギター部の恋愛事情

 なぜだろう最近周りの様子が変だ。いつからだろうかと思い返してみた、多分部活であった新年会が終わったあたりからだ。気のせいだと思っていたかったのに、俺は偶然彼女持ちの三人(ヤツら)の会話を聞いてしまった。新年会では、○○王のクイズの動画を使って、問題に答えるゲームをした。

たまたま、拓人(たくと)壮吾(そうご)一真(かずま)は会ったので、話をしていた。「この前の新年会の壮吾と上田の動画彼女と見返していたんだけど、彼女が上田君って、三浦君のことばっか名前出しているけど好きなのかな?って言ってたんやけどどう思う?」と拓人は二人に聞いた。すると一真は「え?そうなん?そういえば、俺の彼女も上田の片想いだって言っていたような?」と言い、相互も「まじ?俺の彼女もそんなこと言ってた。」と言った。

 え?もしかして俺、三浦のことが好きやと思われてる?でも、俺、女にしか興味ないのに、ま、ええか、

 そして三人は、上田は三浦のことが気に入っていて好きなのだと結論づいた。その時上田が声をかけた。「おー!三人組(お前ら)最近彼女とどーなん?拓人、今日も彼女の家に帰るんか?一真、彼女ととええ感じ?壮吾はどうなん?」三人は聞かれていたことを察し、無言で逃げた。後方で「おーい!シカトすんなや」と言う声を聞きながら。

 学食の近くからセブンイレブンの前まで移動し、上田が着いて来ていないことを確認し、拓人が言った。「一真、壮吾、もしかして今の会話上田に聞かれたよな?」「そうやな」と一真が言い、「でも、上田はそこまで気にしないじゃない?」と壮吾が言った。そんな時、井口がやってきて、「三人で何してんの?」と聞いた。「お、いっちゃんお疲れ!」と一真が言って、三人は、アイコンタクトで今のことは井口に言わないでおくことにして隠した。「何の話してたん?」と井口が聞いたので、拓人が、「なんも話してない、今たまたま会ったから」と言った。「そうなんや、じゃあ、俺この後三限あるから行ってくる」と言い、一真が「おう!いっちゃん頑張るんやで」と言った。その後三人は部室に移動した。

 井口が向かった方向には、三人に無視をされ見失って少し怒ってる上田がいた。「お、井口ええとこに居るやん彼女持ちの三人(アイツら)見んかった?」と上田が井口に聞いたので、井口は、「あ、さっきセブン前に居ったで」と言った。上田は、「ありゃと!アイツら俺のことシカトしてきたから仕返しして来るわ」と言って走って行った。

 上田は急いで行ったが、もうそこには三人の姿はなかった。

 拓人と一真と壮吾はあの会話のことについて上田に聞かれたら厄介なので、しばらく上田を無視することにした。そして、それぞれの彼女にもその事について聞かれたら答えないことと、その後話したことも伝え六人で上田を無視することにした。

 くそ、あいつらどこ行ったんやろ、次会ったらでええか、でも何であいつらは、俺が三浦を好きやと思ってるんやろ?そんなことあるわけないって考えれば分かるやろ、と上田が考え事をしていたのを中断する声があった。「あ、上田先輩、なんかありました?怒ってます?」今、あまり会いたくなかった人だ。「お、おー!女、怒ってないで、お前彼氏できたら許さんで?」とごまかした。すると「大丈夫ですよ今いないので」と女は言った。

 あの会話を聞いてしまってから無視されることが続いた。その割には、奴らからの視線はずっと感じており、誤解だと伝えたいが、いざ話そうとすると逃げるのでできなくて、誰も話してくれないので、何も知らなそうな井口と過ごすことが増えた。