つぐなえない罪

「柚香〜‼︎どう?」
「史那。どうって言われても・・・・・」
 クラスでのHRが終わり、校門に向かっていると、史那に待ち伏せされていた。
「いや〜。ほんっといいよね〜。特進創造総合科って、白ノ蘭の中で、勝ち組だよね〜。なんか悔しい」
 だつたら、白ノ蘭受けなかったら良かったのに。
「でもいいの。柚香と一緒の学校が良かったから」
「史那・・・・・・」
 史那とは、中学受験も一緒にした。
 私は別に、史那がいようがいまいが関係ないと思っている。親友じゃないし、学校は勉強するためのところだから。
「史那〜!」
「り、利仁‼︎なんで・・・」
 そこにいたのは、史那の兄・尾見西 利仁(おみにし りひと)さんだった。
 心配性で、よく史那のお迎えに来るのだ。だから私とも顔見知り。
「柚香、ごめん。利仁が来ちゃったから、今日一緒に帰れないわ」
「いいよ、そんなの」
「明日!明日絶対一緒に帰ろうね。じゃ、また。ほんとごめんね」
 史那はそう謝りながら、利仁さんのもとへ行く。
  ズキンッ
 少しだけ、胸が痛くなる。
 約束してたわけじゃなかった。でも、一緒に帰れるのだと思っていたから。

  誰かが離れるのが、すごく、嫌だった

 ダメだ。考えたら、きりがない。
 ・・・そうだ!学校の近くでも散策しよう。全然来たことのないところだし。・・・・・・せっかく時間も出来たんだし。