木南 清佳のお話
私の父親は、神田 司。
戸籍上では、他人だけど。
でも、確かに私の父親だ。
母は、神田さんとの結婚に大反対されて、結婚できなかったらしい。
だから、母は、今でも神田さんを愛しているし、神田さんも、母を愛している。
そんな中、マスコミが騒いだ、ある事件が起こった。
神田さんは、その事件の担当で、全く会えなくなった。
母は、悲しみに暮れていた。
でも、仕方ないよね、っていつも笑っていた。
そして、時が経って、その事件に区切りがついて、一緒にごはんを食べることになったんだけど。
神田さんを、母と見送っているときに、車が突っ込んできて、私は怪我をした。
で、病院に入院してたんだけど、ちょっと色々あって、マスコミがめっちゃやってきたの。
わ、ヤバ!ってなったのを、すごく覚えている。
で、神田さんが、なんか知らない人の病室に入っていくのを見て、後をつけた。
そこには、ある1人の女の子がいたのーー。
そして時は経ち、高校の入学式。
私は教室で、なんだか見たことのある女の子を見つけた。
名前は、許斐 柚香。
だけど、分からなかった。
そんな人、会ったことなかった。
でも、つい最近のことだった。
私がモミジ(愛犬)の散歩をしていたら、神田さんを見つけた。
そしてそこにいたのは、許斐さんだった。
その時、パズルのピースが、ぴったりとはまった。
あぁ、この子は、あの病院の子だ。
・・・弓川 咲生だ、ってね。
許斐 柚香の視点
木南さんは、無表情で私を見つめる。
どうして、木南さんは私の秘密を知っているんだろう。
私は、木南さんと話したことは、あまりなかった。
「ねぇ、それで、さ。話したいこと、って何?」
木南さんは、表情を変えない。
「お願いがあるの」
「お願い?」
一体なんだろう。
「あのさ・・・。これから、関わらないでほしいの。・・・神田さんに」
え・・・?
なんで、ここで神田さんが出てくるの?
木南さんと神田さんって、何かあるの?
「それが、言いたかっただけだから」
「待って!」
立ち去ろうとする木南さんを呼び止める。
木南さんは、振り返る。
「なに?」
「どうして、神田さんと、関わっちゃいけないの?木南さんは、神田さんと、どういう関係なの?なんで、あのこと知ってるの?」
木南さんは、一粒の涙を溢す。
「あの人、私の父親なんだ。でも最近、あんまり私のこと気にかけてくれないの。・・・許斐さんのせいだよ!許斐さんが、あの時、神田さんと出会ってなかったら・・・っ!」
木南さんは、階段を降りていく。
神田さんが、父親?
どういうこと?
離婚?それとも、最初から結婚していない?姓が違う?
あとは、あとは・・・。
ぐさっ ばたんっ カラン
「うっ」
やばい、思い出しちゃった。
あの時の事。
あの時の感覚、あの時の音。
全てが私を、あの過去に縛り付ける。
解放されたい。
でも、できない。
あれは、私に大きな傷を残して、そして大きな"罪"を残した。
父親と、母親を死なせた私に、幸せになる資格はない。
「はっ」
どさっ べちょつ
血で染まっていく道路
周りに集まってくる人々
カシャ カシャ
なぜか、カメラで"撮る"通りすがりの若者
『事故です!人が落ちてきて・・・っ』
119番に電話をする、おばあさん
わなわなしている、その辺のサラリーマン
『お、母さん。お、母さん』
そしてーー
「はっ!」
心臓が、バクバクと音を立てる。
ダメだ、これ以上思い出しちゃ。
大変なことになる。
「早く、帰ろ・・・」
よろよろと歩き出す。
吐き気がする。
でも、早く帰らないと。
哉人くんに会いたい。
いつまでも、いつまでも、この感覚は、音は、忘れられない。
・・・私は、哉人くんに、言わないといけない。
あのことを。
私の父親は、神田 司。
戸籍上では、他人だけど。
でも、確かに私の父親だ。
母は、神田さんとの結婚に大反対されて、結婚できなかったらしい。
だから、母は、今でも神田さんを愛しているし、神田さんも、母を愛している。
そんな中、マスコミが騒いだ、ある事件が起こった。
神田さんは、その事件の担当で、全く会えなくなった。
母は、悲しみに暮れていた。
でも、仕方ないよね、っていつも笑っていた。
そして、時が経って、その事件に区切りがついて、一緒にごはんを食べることになったんだけど。
神田さんを、母と見送っているときに、車が突っ込んできて、私は怪我をした。
で、病院に入院してたんだけど、ちょっと色々あって、マスコミがめっちゃやってきたの。
わ、ヤバ!ってなったのを、すごく覚えている。
で、神田さんが、なんか知らない人の病室に入っていくのを見て、後をつけた。
そこには、ある1人の女の子がいたのーー。
そして時は経ち、高校の入学式。
私は教室で、なんだか見たことのある女の子を見つけた。
名前は、許斐 柚香。
だけど、分からなかった。
そんな人、会ったことなかった。
でも、つい最近のことだった。
私がモミジ(愛犬)の散歩をしていたら、神田さんを見つけた。
そしてそこにいたのは、許斐さんだった。
その時、パズルのピースが、ぴったりとはまった。
あぁ、この子は、あの病院の子だ。
・・・弓川 咲生だ、ってね。
許斐 柚香の視点
木南さんは、無表情で私を見つめる。
どうして、木南さんは私の秘密を知っているんだろう。
私は、木南さんと話したことは、あまりなかった。
「ねぇ、それで、さ。話したいこと、って何?」
木南さんは、表情を変えない。
「お願いがあるの」
「お願い?」
一体なんだろう。
「あのさ・・・。これから、関わらないでほしいの。・・・神田さんに」
え・・・?
なんで、ここで神田さんが出てくるの?
木南さんと神田さんって、何かあるの?
「それが、言いたかっただけだから」
「待って!」
立ち去ろうとする木南さんを呼び止める。
木南さんは、振り返る。
「なに?」
「どうして、神田さんと、関わっちゃいけないの?木南さんは、神田さんと、どういう関係なの?なんで、あのこと知ってるの?」
木南さんは、一粒の涙を溢す。
「あの人、私の父親なんだ。でも最近、あんまり私のこと気にかけてくれないの。・・・許斐さんのせいだよ!許斐さんが、あの時、神田さんと出会ってなかったら・・・っ!」
木南さんは、階段を降りていく。
神田さんが、父親?
どういうこと?
離婚?それとも、最初から結婚していない?姓が違う?
あとは、あとは・・・。
ぐさっ ばたんっ カラン
「うっ」
やばい、思い出しちゃった。
あの時の事。
あの時の感覚、あの時の音。
全てが私を、あの過去に縛り付ける。
解放されたい。
でも、できない。
あれは、私に大きな傷を残して、そして大きな"罪"を残した。
父親と、母親を死なせた私に、幸せになる資格はない。
「はっ」
どさっ べちょつ
血で染まっていく道路
周りに集まってくる人々
カシャ カシャ
なぜか、カメラで"撮る"通りすがりの若者
『事故です!人が落ちてきて・・・っ』
119番に電話をする、おばあさん
わなわなしている、その辺のサラリーマン
『お、母さん。お、母さん』
そしてーー
「はっ!」
心臓が、バクバクと音を立てる。
ダメだ、これ以上思い出しちゃ。
大変なことになる。
「早く、帰ろ・・・」
よろよろと歩き出す。
吐き気がする。
でも、早く帰らないと。
哉人くんに会いたい。
いつまでも、いつまでも、この感覚は、音は、忘れられない。
・・・私は、哉人くんに、言わないといけない。
あのことを。



