つぐなえない罪


「そう、だったんだ・・・・・・。あのこと、ウソじゃなかったんだ・・・。私、てっきり・・・」
 お昼休み、私は史那に、"秘密"を話した。
 図書室の端っこで、隠れるように話す。
 図書室は、すごく静かだった。
「柚香、ごめんね。あと、ありがとう。・・・こんなこと、話したくなかったでしょ?」
「それは・・・・・・」
「でっ、でも、嬉しかった!話してくれて」
 史那・・・・・・。
「ありがとう」
 史那は、にこっと笑う。
 可愛い・・・。
 今の史那は、天使みたいだ。
「それとね、史那。私、・・・好きな人ができたの」
「えっ、ウソ!ホントに⁉」
 史那は、ものすごく驚いた顔をする。
 そして、にこっ、っと満面の笑み。
「おめでとー‼︎私、応援するね!」
「おめでとう、なの?」
「わかんないけど!・・・なんとなく?」
 分からないんだ・・・。
 でも、なんだかすごく、嬉しかった。
 朝、仲直りできたから、こんな話ができた。
 喧嘩をしたから、こんな話ができた。
 それが、なんだかすごくーー。
「ねぇ、でもさ、柚香。1つ、お願いが・・・」
「何?」
 なんだろう、ちょっと怖い。
「その、Aくんと仲良くなっても、すっごく仲良くなっても、私と遊んでね?」
「何言ってるの?そんなの、当たり前でしょう?」
 それがお願い?
 なーんだ、そんなのか。
 なんか、もっとすごいのかと思った。
 なんか買って、とか。

  キーンコーンカーンコーン

「あっ、予鈴鳴っちゃった。教室戻ろー」
「うん」

 帰ろうとしていると、廊下で、江良木に話しかけられた。
「ねぇ、許斐さん。外部生の歓迎会、結局できてないからさー。今日、良かったら、どうかな?小早川さんも」
「私はパス。行かないよ、そんなの。この前も言ったよね?」
 小早川さん、行かないんだ。・・・意外。
 行くのかと思ってた。
「私もパス。今日は、寄るとこあるし」
「え〜。つまんなーい。それじゃ、また、ただのカラオケ大会になっちゃうじゃーん」
 ・・・つまり、この前と同じになっちゃう、って言いたいのね。
「しかも、今日は恵美(めぐみ)休みだし」
 と、ぶつぶつ言いながら、教室に戻っていく、江良木。
「許斐さん。あの、さ。校門まで、一緒に歩かない?」
「うん、いいよ」

「許斐さん、さ。この前、尾見西さんのこと、親友じゃない、って言ってたよね?」
「あー、うん」
「でもさ、違うと思うんだ、私。・・・2人は、親友だと思うよ」
 え?
 親友に見えてる、ってこと?
「だって、2人はすっごく仲良いでしょ!親友にしか見えないよ」
「小早川さん・・・。ありがとう」
「いえいえ〜」