つぐなえない罪


〈  〉が、柚香の視点♫
〔  〕が、史那の視点♬

「史那。おはよう」
「お、おはよう」
 〈き、緊張するよ。
  ・・・でも、頑張らないと。
  私は、史那と、仲直りしたいんだから。〉
 〔うー。気まずいよー。
  私のせいでこんなことになったんだけど・・・。
  仲直りは、したいんだけど・・・。〕
「史那、ごめん」
 〈あ〜、言っちゃった。
  どうなるかな、この後。
  お願い、史那。
  仲直りしよう。〉
「え・・・?な、なんで、柚香が謝るの?悪いのは、私なのに」
「違うよ、史那。私が悪いの、私が」
 〔違う、柚香は悪くない。
  悪いのは、私。
  私がひどいこと言ったから。〕
 〈史那じゃないよ。
  私が悪いんだから。
  私が、自分で変な考えをねじこんだから。〉
「私のせいなの。私、ほんとはずっと史那のこと親友だと思ってたのに、嘘ついて・・・。大切な人をつくるのが、怖かったから」
「違う、違うよ。それは、柚香の考えでしょ?ウソじゃない。悪いのは、私。私が自分の考え押し付けたから」
「違うの、それはーー」

ここからは、柚香の視点

「ううっ。ぐずっ。柚香~、私も大好きだよ~」
「ちょっ、そんなに号泣しないでよ、史那。ここ駅だよ?駅」
 史那と仲直りできた私は、本当に嬉しかった。
「そういう柚香だって、泣いてるじゃん」
「そっ、それは・・・。でも、史那みたいな号泣じゃないし?」
 ジロジロとこちらを見てくる、人々。
 冷たい目で見てくる人、暖かな目で見てくる人、不思議な目で見てくる人、見て見ぬふりをしてくれる人。
「ねえ、史那。今日ね、話したいことがあるの」
「うん、分かった」
 ・・・こうやって、打ち解けられたんだから、"あのこと"話してもいい、と思う。