つぐなえない罪


「ねぇ、史那どうしたの?元気ないけど」
 帰り道、ぼんやりしていると、柚香に心配された。
「あっ、ううん。なんでもない」
「そっか。ならいいけど」
 元気、ないけど。
 なんでもない、わけじゃないけど。
 言えない、よ。
 でも、聞きたい。
 聞いてしまったら、後戻りできないんだよ?史那。
 聞いちゃダメだよ。
 でも、でも・・・‼︎
「柚香、って私のこと、親友だって思ってなかったの?」
「えっ・・・・・・?」
 驚いた顔をする、柚香。
 柚香の目の奥が、どうして知っているの、どうして分かったの、って語りかけている。
「いやー、聞こえちゃったんだよね〜。コバヤカワさんと話してるのを」
「あ、あの時いたの?」
 言っちゃダメ。今の関係が、壊れちゃう。
 でも、私の口は止まらない。
「私ずっと、親友だと思ってたのに・・・。親友だって思ってたのは、私だけ、だったんだね」
 少し悲しそうな、少しさみしそうな顔をして、柚香は私を見る。
「だって、親友って、思ってることなんでも話せるから、親友なんでしょ?私、史那に隠してること、いっぱいあるし」
 違うよ、それが親友じゃない。
「柚香は、私のこと、なんにも聞かないよね。私の言ったことを、『そうなんだ』って頷いてるだけ。それは、・・・・・・私に深く聞かないのはっ。自分にも、隠し事があるから?それとも、親友だと思ってなかったから?」
 逃げちゃダメ。
 聞いちゃダメ。
 しゃべっちゃダメ。
 そう思っているのに、体は反対の動きをする。
「柚香は、私を大切に思ってなかったんだね。親友だと、思ってくれてなかったんだね」
「史那・・・っ」
「ごめん、先帰ってて。私、寄るとこあるから」

 私は、最低だ。
 大切な、彼女を傷つけた。