つぐなえない罪

「入学生、一同起立」
 ここは、県内有数の進学校・白ノ蘭学園高等学校(はくのらんがくえん)の入学式。
 私は、許斐 柚香(このみ ゆうか)。
 白ノ蘭学園高等学校に首席で合格した、らしい。
 学校長のありがたい話を右から左に聞き流す。
 ふいに他のクラスからの視線を感じる。
 思わず見ると、そこには幼馴染の、尾見西 史那(おみにし ふみな)がいた。
 にこっ、と笑いかけてくる史那。
 私も、笑い返そうかと思ったが、入学式が終わりそうなころになったから、やめておいた。

『特進創造総合科 1-A』
 私が通うことになった、特進創造総合科(とくしんそうぞうそうごうか)は、日本でもトップクラスの偏差値で、この学校でも、1クラスしかない。
 史那は、ここには受からないと判断したのか、一般総合科(いっぱんそうごうか)を受けていた。
 一般総合科は、この学校で、特進科(とくしんか)の次に賢い学科だ。
 まあ、史那と離れて寂しいけど、学校は一緒だし、"あのこと"を知ってるわけでもないし。
 ーー親友じゃないし。
「えっと・・・。許斐、さん?」
「そうだけど、何?」
「わ、私ね!小早川 希望(こばやかわ のぞみ)っていうの!あの〜。い、良い香りだね。香水?」
 小早川 希望、と名乗った彼女は、私の後ろの席に座った。
「あぁ、うん。ユズの香水。私の名前、"柚香"だから」
「あっ。なるほど〜。ねぇ、どこのやつ?」
「えっとねーー」