つぐなえない罪

 哉人くんの話を聞いた、私・柚香は、とてつもない衝撃を受けていた。
 哉人くんに、そんな過去があったなんて。
「お前、何泣いてんの」
 気づけば、私の頬を、涙がつたっていた。
 ボロボロとこぼれる、涙。
「哉人くん」
「な、なんだよ」
 私の口は、勝手に動いていた。
「哉人くんは、絶対にやっちゃいけない・・・犯しちゃいけない罪を犯した。それは、いけないことだと思う」
 でもね
「でも、哉人くんの気持ち、少し、分かるから・・・。・・・哉人くん、ずっと、孤独で、辛かったね」
「・・・・・・っ!」
「私は、どんなことがあっても、哉人くんの味方だから。私は一生、哉人くんの味方だから!」
 親に嫌われる辛さは、よく分かる。
 私も・・・・・・。
「いっ、しょう?」
「うん。一生」
 神様、私は、こんな運命だったのでしょうか?
 南雲 哉人という人と出会い、彼の過去を聞き、私の過去を、思い出させる。
 忘れちゃいけない、あの事件を忘れさせない為に。
「ねぇ、哉人くんって、スマホ持ってるの?」
「最近、買った」
 買えるんだ・・・。さすが南雲HDの、人(?)
「じゃあ、連絡先交換しようよ!」
「いい、けど・・・」
 LINEのアプリを開いて、二次元コードを出す。
 哉人くんが二次元コードを読み込む。
 哉人くんから、メッセージが届く。
 『よろしく』
 『こちらこそ、よろしくね!』