カル島と動物人たち

「それじゃあ、私はこれで。」
村長はそう言うと、くるりと向きをかえた。
「ま、待ってください!」
慌てて私が言うと、驚いた様子の村長が振り向いた。
「あの…ありがとうございました!助かりました!」
お辞儀しながら言うと、村長の優しい笑い声が聞こえた。
「いえ、これくらいいいのよ。では。」
村長は小さく手を上げると、今度こそ歩いていった。
1人になった私は、施設を前にして立っていた。
「ふー…毎回緊張するのよね。」
深呼吸してから、ドアをたたいた。
「あのー、動物支援団体の者ですが…」
「はーい!」
ドアのうしろから返事が聞こえ、ドアが開かれた。