準備がおわってリビングへ行くと、子どもたちや施設長もオシャレしていた。私を見たファブアリが
「えー、お姉さんオシャレしないの?つまんない。」
と言ってきたので、私は曖昧に笑いかえした。
今していることは仕事なのだ、プライベートじゃない。
「お姉さん、どうしたの?」
心配そうにクーマが言った。
「すごい顔してるけど。」
私は咄嗟に笑顔をつくった。「ううん。なんでもないよ。」
子どもにバレるとは、相当なしかめ面をしていたのだろうか。
そう思うとなんだかおかしい。
「あれ、今度は笑ってる。ヘンなの。」
クーマの言葉を無視して、私は施設長の方を向いた。
「どのくらいのキョリですか?」
施設長の顔が考えこむようになった。「うーん…10分くらいですかね。」
それなら安心だ。「そうですか。ありがとうございます。」