「え?でもステラはフランドル公爵家の踊り子だよね?違うのかい?」
何故か陛下の横にいたロイも陛下と同じように驚いた様子でこちらを見る。
「…」
私は陛下にもロイにもにこやかに微笑んでいたが、心の中ではそんなロイを不審なものでも見るような目で見ていた。
何故、この男がここにいるのだ。
「…違います。ロイ様がそう思っていただけです」
「うーん。そうだったんだね。知らなかったな」
気まずそうに微笑む私にロイがにっこりと笑う。
そして「友だちなのにまだまだ知らないことがいっぱいあるみたいだね」とどこか意味深に笑っていた。
お願いです。私を探らないでください。ボロが出そうです。
「ですが、父上、彼女が多才で優秀な踊り子であることは間違いないです。僕はこの目でフランドル公爵邸の花畑で舞う妖精のような彼女を目撃しております」
「ふむ」
「ですから予定通りことを進めてよいかと」
「そうだな。ロイが言うなら間違いないだろう」
内心ずっとドキドキしている私なんてお構いなしに陛下とロイが何かの話を勝手に進めている。
その話は抽象的で何の話をしているのかこちらからは全くわからなかった。



