「やぁっと見つけたぁ。ステラぁ」
ミラディア帝国の美の女神。
そう称されるこの帝国一の美女、リタがこちらを見つめて微笑んでいる。
「ずぅと探していたのよ?私の為だけに存在を許された人間のくせにどうして逃げ出しちゃったのかしら?お前はね、死ねと言われたら死ななければならない人間なのよ?」
リタは私に優しく、だが、どこか冷たくそう言うと、それはそれは愉快そうにその猫目を細め、ゆっくりとこちらへと近づいてきた。
…このままリタに捕まれば確実に死ぬ。
リタの様子を窺いながらも、逃げる隙を探し、車椅子を後ろへと下げる。
「あらあら。逃げちゃうのかしら?お前は死なねばらないというのに」
「…っ!」
だが、私の車椅子は後ろから誰かに押さえつけられたことによって動かなくなった。
…まさか後ろにまで人がいたとは。
気づくことができなかった存在の登場に私は表情を歪める。



