それでも私といたいと言うのなら。
1人でいるよりも2人でいた方が都合がいいのは確かだ。セスがいてくれるなら今後いろいろと生活もしやすくなるだろう。
だから私はセスを私の逃亡劇に巻き込むことを決めた。
「…ス、ステラ様」
私の後ろから震えるセスの声が聞こえる。
「ありがとうございます。俺にそんなお言葉をくださるなんて…」
そこまで言うとセスは車椅子の後ろから私の前へと移動し、私の前で跪いた。
私を見つめるその空色の瞳には、美しい涙が溢れ、セスの頬をゆっくりと流れている。
セスが丹精込め育てたキラキラと輝く魔法花を後ろに泣くセスは本当に美しく、どこか幻想的で私は思わず息を呑んだ。
「アナタのお側にいさせてください。ステラ様、アナタこそが俺の主であり、たった1人の俺のお嬢様なのです」
こちらをまっすぐ見つめるセスの真剣な眼差しに気が引き締まる。
私は今、セスの人生を貰ったのだ。
これからは私だけではなく、セスのことも考え、行動し、責任を持たなければならい。



