悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜






*****




ここに監禁されて5日。
食事から始まり、恥ずかしいがお風呂やトイレまで管理され、最悪な気分が続く中、私はここから逃げる為にあることを考えていた。

セスは今、不安定だ。だからこそ私をこうして監禁し、全てを管理している。
ならばその不安定さを安定させればいい、と。



「ん?どうされましたか?」

「…っ。いや、別に何でもないよ」



私のベッドのすぐそばにあるソファに座り、テーブルいっぱいに何やら書類を広げ、仕事をしているセスが私の視線に気づき、不思議そうにこちらを見る。
まさか仕事に集中しているセスが私の視線に気づくとは思わず、私は何でもない顔をしてそれを何とか誤魔化した。

そんな私の言葉を聞き、セスは「そうですか。何かありましたら何なりとお申し付けください」と言い、また書類へと視線を落とし、何かを書き込み始める。

ただでさえ、リタの専属執事という忙しい仕事をしている上に、私の世話を一から十までやっているのだ。
きっと仕事が終わらないのだろう。

その証拠にここ数日、夜になりもう寝る時間になっても、セスはここでいろいろな仕事をしていた。
なので私も何となくそんなセスに付き合う形でセスに渡された本を読んでいた。