「え、死?死んじゃう?」
軽くパニックになりながらも、何とか言葉を発するが、頭の中はこんがらがったままだ。
確かにこのまま放置すれば死ぬかも、とは思っていたが、まさか本当に死ぬなんて。
少しずつ状況を理解し始めた私はその場で項垂れた。
ここまで何の為に頑張ってきたんだ…。
「大丈夫落ち着いて。このまま放置すれば死ぬって話だよ。要は今、君の体にある〝体の時間を戻す〟魔法薬の効力を消せばいい。僕たち魔法使いは基本、魔法薬を作る時は万が一に備えて解除薬も作るんだ。それを飲めば君は死なないよ」
死を宣告された私を慰めることなく、淡々とただ大丈夫だとキースが私に伝える。
それを聞き、今度は安堵から私の体から力が抜けた。
よ、よかった…。
「君、ロイ殿下もそうだけどフランドル公爵家のユリウス様にも追われているでしょ?どうせ魔法薬の解除には時間がかかるし、しばらく僕がここで君を匿うよ」
「あ、ありがとう…」
「別にお礼なんていいよ。君のお陰で僕の研究は大きく前進した訳だしね。それに解除することも研究の内だ。…それで魔法薬解除後はどうする予定?」
「…帝国外に逃げるつもりだよ。ルードヴィング伯爵にも命を狙われているしね」
「じゃあ、解除後はここでその逃走の準備をすればいいよ。帝国外に無事出る為には準備が必要でしょ?その間に僕は〝体の時間を戻す〟魔法薬についてさらに研究を進めるから。実際に魔法薬を服用した君から取りたいデータもたくさんあるし。いいよね?」
「うん、もちろん」
私の話を聞き、最高にいい条件を提示するキースに私は頷く。
キースの反応が予想通りでよかった。キースなら私の姿を見て研究のついでに保護してくれると思っていた。
これで何とか死なずにこの帝国から脱出できそうだ。



