〝体の時間を戻す〟魔法薬など、見たことも聞いたこともないので、キースがどれだけ凄いことを成し遂げたのかはわかるのだが、別にそれを私は求めてなどいない。
私が求めていたのは、全てをやり直せる〝時間を戻す〟魔法薬だ。
〝体の時間を戻す〟魔法薬で幼くなりたかったのではない。
まぁ、そんなことは不可能に近く、難しいことなのは重々承知しているので、もちろん本人に面と向かっては言えないが。
「それでその天才が作った〝体の時間を戻す〟魔法薬で今の私があることはわかったけど、どうして私の体は完全には戻れなかったの?」
大興奮のキースによって話が逸れてしまったので、改めて私は次の疑問をキースにぶつける。
するとキースは「んん」とわかりやすく咳払いをし、また改めて真剣な表情を作った。
どうせゆるゆるになるのだから表情など作らなくてもいい気もするが、雰囲気を大事にしたいのだろう。
「ステラ、君の体が完全に戻らなかったのは、それは僕が作った〝体の時間を戻す〟魔法薬がまだまだ未熟で失敗作だったからだ。最初こそ、成功していたけど、未熟なものだったから、今の結果があるんだと考えられる。それもあの様子から見て君の体は今、無理矢理体の時間を戻したり、本来の姿に戻ったりしている。このままだと君、死ぬね」
「え」
死?
突然淡々とキースに死を宣告されて眉間にしわを寄せる。
え、待って。
ルードヴィング伯爵に殺される以前に、私このままだと死んじゃうの?
誰かに殺されるとかじゃなくて、あの生き残る為に飲んだ魔法薬のせいで?



