「…な、何と身に余るお言葉でしょうか。ただの平民にそのようなことを言ってくださるとは」
そんなロイに私は困惑しながらも感激している表情を作り、嬉しそうに笑った。
するとロイはふわりと笑い、目を細めた。
「当然だよ。だってステラは僕の大切な友人だからね」
「…はぁ」
天使で慈悲深いロイに思わず、間の抜けた返事をしてしまう。
ここまで上手くやっていたのに、つい取り繕っていた仮面が取れてしまった。
友人だからと平民を特別扱いしていい訳ないじゃないか。
それも帝国の皇太子が。
「…アナタの友人である前に私は平民です。ですから今の待遇だけでも異例であり、当然ではないんです」
間の抜けた返事からすぐに切り替えて、丁寧に事の異常さをロイに説明してみる。
だが、ロイはそんな私をおかしなものでも見るような目で見て、「いやいや。当然だよ。ステラにはそれを受ける資格がある」とにこやかに言っていた。
いやいやはこちらのセリフだ。
どう考えてもおかしいのはそちらだ。



