「素敵な場所ですね…。平民の私がこんな体験できるなんて夢のようです」
「ふふ、そうだろうね。宮殿で働いてくれたら福利厚生としてステラが好きな時にこれを受けられるようにしてあげるよ」
「…な」
何て素敵すぎる提案なんだ。
と、口から出そうになるが、それを私はぐっと堪える。
そんなことを言えば、この獲物を捕まえようとしている狩人に捕まってしまう。
「な?」
〝な〟だけ言って、何も言わなくなってしまった私を不思議そうに、だが、どこかおかしそうにロイが見つめる。
ロイのあの目は今の状況が楽しくて楽しくて仕方ない、という目だ。



