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走り続けること数分。
私はやっと地下室へと続く扉の前まで辿り着いていた。
「…はぁ!」
扉の前で思いっきり剣を振りかざし、そのまま勢いよく下ろして、扉に傷を作る。
それを何度も何度も繰り返すと、小さな傷はどんどん増え、扉もどんどんボロボロになっていった。
ここまでくればあと一息だ。
「…よし。はぁっ!」
ボロボロになった扉に一思いに足を振り上げて踏み抜く。
するとバーン!っと派手な音と共に穴が開き、私の目の前に薄暗い地下室へと続く階段が現れた。
この先にユリウスがいるはずだ。
「ふぅ」
一度深く息を吐いて、額に滲む汗を拭く。
それから私はその階段を一気に駆け下り始めた。
そして階段を駆け降りた先には、地下牢のような場所が広がっていた。
だか、地下牢といっても部屋に鉄格子があるだけで、劣悪な環境だというわけでない。
アリスがコレクションを保管していると言われている場所だけあって、そこは白と金で統一された清潔で洗礼された美しさのある場所だった。



