なんだかんだで解放されると22時過ぎになっていた。

「早川課長…こんな時間まですいません。
私がLINEしちゃったばっかりに。」

「何言ってんだ。連絡くれてむしろよかった。
あと悪かった。…俺が最初から送っていけば、中森さんに怖い思いさせなくて済んだよな。家の前まで来られるの嫌かなとかそんなのグチャグチャ考えないで送るべきだった。申し訳ない。」


早川課長はそう言って私に頭を下げるので、
びっくりして私はそれを制止する。


「そんな!やめてください!早川課長はなんも悪くないですから!…連絡したらすぐ飛んできてくれて、凄くホッとしました。今早川課長が隣にいてよかったです。」


私の顔を心配そうに見つめながらそうかと頷く。


「そしたら、嫌がろうとなんだろうと家まで送ってく。
道だけ教えて。」


「あ、はい。お願いします。」


早川課長と並んで帰路につく。
毎日通る道なのに、なんだか不思議な感じだ。
課長はなんでもない話をしながら、私のペースに合わせてゆっくり歩いてくれる。


きっと私が怖がらないように気を遣ってくれている。


その優しさを感じていると、あっという間に家に着いた。


「私の家ここです。」


「そっか。じゃあ家入るの確認してから帰る。
何階?」


あまりの徹底ぶりに思わず笑ってしまう。


3階の私の部屋の前までつき、鍵を開ける。


「それじゃあ、今日は本当にありがとうございました。」