「まぁ、そんな感じ。」


たしかにあの期間限定ファンクラブが
一生続くとなると、崇められる側は楽ではないのだろう。


「理解しました。…でも、私はいいんですか?」


ふと思って聞いてみる。

すると早川課長は少しの沈黙のあと答える。


「……中森さんは特別だから」



私は早川課長を見上げる。しかし珍しく早川課長は慌てたように話題を変える。



「中森さんここ。どう?」
そう言って早川課長が指差すのは、水族館だ。


「水族館…ここ初めてきました。」


「え?本当に?」
早川課長が驚いたように聞く。


「はい。私上京してきて、友達とかいなかったから、せっかく東京にいるのにあんまりお出かけした事ないんですよね…」


なんだか自分で言っていて悲しくなってくる。


「……彼氏とデートとかもないの?」


早川課長の質問に私は大きく首を振る。


「いやいや、彼氏なんて!私なんかにそんな存在できたこともありません!!」


私のその返答に、早川課長はびっくりしている。