「早川課長、ごちそうさまでした。」

私はお店を出てすぐお礼を伝える。

「いいえー。中森さんはこの後どうする?」


そうか…もう目的のこたろうカフェは果たしてしまった。このまま解散かな…
本当は、もう少し一緒にいたい…


私が悩んでいると…


「もし時間が大丈夫なら、もう少し付き合ってくれない?」


早川課長の言葉に、私はパッと顔をあげて頷く。
その様子をみて早川課長は笑う。


「なんだか会社の早川課長と別人ですね…」


「そうか?」


「はい。会社だとあんまり表情がないというか…私も本当は優しい人っていうのは分かっていたから、怖いとかは無かったけど、こんなに笑ったり表情豊かなんだっての最近まで知らなかったから。」


私がそういうと、早川課長は少し考えたあと、


「確かにそうかもな。会社では結構気張ってる。まぁそうしてた方が…その…色々トラブルなくて楽ってのがでかいな。」


その微妙な間でなんとなくわかった。


「トラブルって…女性関係ですか?」


私の質問に、疲れ切った顔で早川課長が頷く。