推しは恋のキューピッド

「問題ない。」

早川課長はそう一言告げると、
入り口に向かい店員さんに声をかける。

「予約していた早川です。」

声をかけられた店員さんは、早川課長を見上げ一瞬フリーズしている。顔が少し赤くなっている。


「あの?」
早川課長がもう一度声をかけると、ハッとして、受付表を確認し、

「2名様ですね。ご案内します。」
と急いでメニューも取り出し、店内へと入っていく。


その様子をみた早川課長は振り返り、
私に手招きをする。


私も駆け寄り一緒に案内された席につく。


「…早川課長、予約してくれてたんですね。」


「まぁ、土曜日は混むかなと思ったから。
それに…それだけ俺も今日楽しみにしてたってこと。」


一言そう付け加えた早川課長の耳が少し赤くなっているように見える。


純粋に嬉しい。


「ありがとうございます!私も推し友とこういう所
くるの初めてで…とにかく今日めいいっぱい楽しみましょう!」


私がそういうと、早川課長がピクッと反応する。


「推し友…?」

「はい。推し友です。同じ推しをもつ友人のことです。
…あ!課長に友人って失礼ですよね。すいません!
でも同じ推しの人に初めて出会って嬉しくて…」