推しは恋のキューピッド

「中森さんちょっと来るの早すぎじゃない?」


「あ、すいません!なんか思ったより早くついちゃって…」


「まぁ、いいんだけど…ああいう奴いるだろうから、本当は先に来て待ってようと思ってたから。」


少し不貞腐れたように言う早川課長。
会社とは違う姿にふふっと笑みが思わず溢れてしまう。


そして改めて早川課長に目を向ける。

会社では男性陣は基本スーツだから、
そういえば早川課長の私服は初めてみたかもしれない。


白いTシャツに薄手のカーディガンを羽織ったスタイルでいつもよりラフだ。すごくシンプルなコーディネートなはずだが、早川課長の長身スタイルと端正な顔立ちで雑誌に載っていてもおかしくない。


「相変わらず早川課長はイケメンですね…
私服姿はまたそれはそれでオーラが…」



「またオーラ?よく分かんないけど、ありがとう。
でも中森さんの方がいつもと違ってちょっと最初わかんなかった。」



その言葉でハッとする。

「本当ですか?実は今日のために洋服新しいの買ってみたり、川崎さんがヘアメイクしてくれたり…」



そこまで言って気づく。
こんなの言ったら、めちゃくちゃ楽しみにすごい準備してたこと丸出しじゃないか。