推しは恋のキューピッド



限定マスコットを手に入れるために、今の私にできることは何か…



そう、なんとしてもその日残業にならないように仕事を処理していくこと!



その日に向けて、私はいつも以上に気合いをいれて仕事に取り掛かる。



「中森さん、なんか今日気合い入ってますね。」


隣のデスクの新入社員の川崎さんが声をかけてきた。
川崎さんはいわゆる陽キャというやつで、とにかく人との距離感を詰めるのがうまい。入社半年にして、もう部署に溶け込んでいる。



人付き合いの苦手なかくゆう私も、川崎さんのキャラクターによって、あっという間に打ち解けた。



「今週末は絶対残業できないから、早く今手元にある業務をやっつけちゃいたいんだよね。」


私が資料に目を通しながら応えると、川崎さんが目を輝かせて小声で聞いてくる。


「え!中森さんが残業できないって珍しいですね!
もしかして…デートですか?」



私はガクッと肩を落とす。