早川課長のよく行くお店があるらしく、
そこに向かう道中構内を一緒に歩いたが、改めて思う。


この人は目立つ…


職場だと1ヶ月程でマジックが解けて、ファンもいなくなるから忘れていたが、初見だとその美しさに目が奪われるようだ。


女性はもちろんだが、男性からの視線も感じる。


「早川課長すごいですね…」

「何が?」

不思議そうに首を傾げる。
きっともうこれが当たり前だから何とも思わないんだろう。

「さっきから周りの視線がすごいなって。やっぱり早川課長ってぱっと見オーラが放たれてるから、女性だけじゃなくて男性からもみられてますもんね。」


私がそう答えると、早川課長はクスッと笑う。


「オーラって何言ってんのさ。あと男性の視線ってのは、たぶん俺じゃなくて、中森さんだと思うけどね。」


「いやー、それはないですね。」
私が笑い飛ばすと、早川課長はボソッと呟く。


「無自覚か。…あ、店ここ」


東京駅構内にあるイタリアンのお店だった。