「あげます!」


「…でもこれが欲しくて、今日急いで買いに来たんだろ?」
早川課長が珍しく少し動揺した様子で聞いてくる。


「まぁそうですけど、でも今日この子達を買えたのは早川課長のお陰なんで。もし早川課長がいなかったらどっちの子も買えませんでした。だから…お裾分けです!」



私がそういうと、早川課長は少し考えたあと、
私の手から電車のこたろうを受け取った。


「それじゃあ遠慮なく。…ありがとう」


受け取ったこたろうをじっと眺めたあと、早川課長はふわっと微笑んだ。


え…なにその笑顔。
反則じゃないですか…
普段のクールで冷たい印象とのギャップに思わず動揺してしまった。
やばい、今絶対顔赤い…

私は慌てて下を向く。


そんな私の様子に気づくこともなく、早川課長はハッとしたように


「あ、そしたらお金…」


そう呟いてお財布を出そうとするので、私は慌てて止める。


「いやいや、お礼も兼ねてるんですから!お代は大丈夫です!」