「あとは連絡を待つだけですので、もう定時ですし、中森さんと早川課長は先に上がってください。」


川崎さんは笑顔でそう言ってくれるが、なんとなく帰りづらい…


「俺も待つよ。まぁないと思うけど、万が一また何かあったら困るし。」
早川課長はパソコンに目を向けつつ、さらっと答える。


「それじゃあ、私も…」
私もそう答えると、川崎さんがパッとこちらを心配そうにみる。


「ありがとうございます。でも…中森さん確か今日ですよね?こたろう発売日…。定時で絶対上がって買いに行くって」


さすがの川崎さん。ちょっとした会話もはっきり覚えてくれている。


「まぁ、そうなんだけどさ…」
でもこのまま帰るのもなんだか心苦しいというか、そう悩んでいると…


「中森さんは帰りな。俺がいるし。そんな何人もいても意味ないから。」


ちらっとこちらに視線を向け、早川課長はそう告げると、またパソコンに視線を戻す。


「ほら!早川課長もそう言ってますし!こたろうくんを迎えに行ってあげてください!」


そう言って川崎さんは、私の背中をグッと押す。



「…そう?じゃあお言葉に甘えて…お先に失礼します。」



「はい!お疲れ様です!本当にありがとうございました!」

「お疲れ」


2人に挨拶し、私はオフィスを後にした。