早川課長の言葉を聞き、思わず涙が溢れ出す川崎さん。


私はその川崎さんの姿に昔の自分を重ねた。
私も新人時代、何度もこんな風に早川課長に助けられた。無表情だし、言葉じりは冷たいけれど、しっかり周りをみていて、中身はとっても面倒見のいい優しい人なのだ。


私は必死に涙を堪えようとする川崎さんの肩に手を置き、励ます様にぽんっと押した。


「さぁ、私達もちゃっちゃっと終わらせちゃおう!」


「はい!!」


私の言葉に川崎さんは顔を上げると、ぐいっと涙を拭い、笑顔で答えた。


それから私達3人は、各自必死に業務を行い…


「終わったー!!!あとは連絡を待つだけです!!」


無事トラブル対応も終わり、あとは報告の連絡を待つのみとなった。


ほっと一息つくと、川崎さんはくるりとこちらに振り向き


「中森さん、早川課長、本当にありがとうございました。今後はこのようなことが二度とないように気をつけます!」


そうお礼を言うと、深く頭を下げた。
川崎さんは陽気なキャラクターだけれど、こういう所が本当にしっかりしていて、新人さんながら信頼出来るいい子なのだ。


その姿をみて、早川課長は小さく頷いた。

「励めよ。」

一言だったが、優しい声だった。