推しは恋のキューピッド

次の日、
私は少しでも早く想さんに会いたくて、
いつもより早い時間に出社した。



まだ人の少ないオフィスに入ると、
想さんが1人パソコンに向き合っていた。



朝日が優しく顔を照らし、いつもの無表情フェイスが
逆に神々しい。



「そう……早川課長!おはようございます」



思わず慣れてきた『想さん』の名前が口に出てが、
オフィスだったと思い出し、慌てて課長呼びに変える。



「中森さん……おはよう。
昨日は電話ありがとう。嬉しかった。」



いつもの無表情から、ふわっと優しく微笑む。
この笑顔が私だけのものと思うと、勿体無い気もするが
反面嬉しい。



「こちらこそ、ありがとうございます。
そして私のせいで不安にさせてしまいすいません。」




私がそう謝ると、珍しく想さんは大きなため息
をつきながら顔を両手で覆う。




「あぁー、思い出しただけでも恥ずかしい。
昨日の俺、すごいびびってカッコ悪かったよな。」



「そんなことありません!!それだけ私の事想ってくれてるってことですよね?私からしたら嬉しいですから!」



「それならいいんだけど……」



私は落ち込む想さんの前に歩み寄る。



「あと、私、今日………言いますから。
がっちゃんに。だから心配しないでください。」