2人が帰ったあと、私はしばらくその場で立ち尽くしていた。




本当はあの場でハッキリ言うべきだったんじゃないか…
がっちゃんにはあいまいな態度で期待させ、
想さんにははっきりしない態度できっと不安にさせたし、傷つけた。





それなのに、想さんは最後まで私の気持ちを優先して行動してくれた。



やっぱりこのままにしちゃダメだ。
ちゃんと話し合うこと。
この間晴香ちゃんにも言われたばかりじゃないか。




がっちゃんには申し訳ないが、やっぱり私の中でがっちゃんは可愛い弟で、それ以上にはどうしても思えない。



でも可愛いくて、情があるからこそ、
その言葉を伝えたら傷つけてしまうと思うと
怖いのだ。


••••いや、傷つけるからだけじゃない。
今まで私を慕って、仲良く楽しくやってきたこの関係性が壊れてしまうことが怖いのだ。




でもきっとがっちゃんも……
その怖さを乗り越えて、きっと勇気を出して私の家に来て、気持ちを伝えてくれたと思う。



だったら私も、曖昧にしてやり過ごすんじゃなく、
誠心誠意私の気持ちを伝えなくちゃいけない。




それに気持ちは決まっているのに、
そんな曖昧なまま過ごすのは、
がっちゃんだけでなく、想さんにも失礼だ。




想さん………



そうだ、自分のことでいっぱいで全然頭が回っていなかった。



想さんは私があの場ですぐ返事をしなかったから、
きっとがっちゃんとの間で私の心が揺れていると思っているかもしれない。



それはどれだけ不安なことだろうか。



この間私も想さんに好きな人がいるんじゃないかと
思って、すごくショックを受けたばかりだったのに。