結局部屋に入ってもらったが、
ローテーブルに向かい合って座る2人は、
お互いを睨み合い何も喋らない。


狭いワンルームに重たい空気が漂う。


本当なら今頃早川課長と一緒に夕飯を食べて
のんびりしているはずが…


私は大きくため息をつきつつ、
がっちゃんに視線を向ける。


「で、なんでがっちゃんは私の家知ってるの?」


「たけ兄に聞いた。」


お兄ちゃん…!!
心の中で余計な事を…と恨む。


お兄ちゃんは私に近づく男性陣にはとても厳しいが、
がっちゃんは兄からしても、小さい頃から一緒の可愛い弟分。それゆえにがっちゃんにだけは、警戒心が少ないのだ。


「まぁそれは良しとして、家まで来てどうしたの??
なんか急ぎの用事あったの?」



私がそう問いかけると、がっちゃんは目を見開き
早川課長を指差す。


「そんなの!!あず姉が心配だからに決まってるじゃん!!こんな評判悪いやつと付き合って幸せになれる訳ない!!」



「がっちゃん!早川課長のこと何にも知らないのに、そんな事言わないで!本当はすごく優しい人だし、だから私も好きなの!だからがっちゃんが心配することは何一つないから!」



私がそう言うと、一瞬がっちゃんは静かになるも
顔は全く納得していない。