「あれ?」


早川課長と一緒にアパートの前まで着いた時、
私の部屋の前にスーツを着た男性が立っているのが見えた。



「誰か立ってる……」



私がそう呟くと、早川課長も私の視線の先に目を向け、
表情が険しくなる。



「……誰だあいつ」


早川課長はそう呟きながら、どんどんアパートへと
近づいていく。



早川課長の後ろに隠れ、スーツの裾をつまみながら
私も一緒に近づいていく。



今までこんな事は一度も無かったので、
怖さで脈が速くなる。
心の中で早川課長が一緒にいてくれて本当に良かったと思う。




そして部屋の前までくると、



「え?がっちゃん?」



思わぬ人物にびっくりすると共に、
知っている人で一気にホッとする。



「あず姉!…………と、どうも。」




私の声に嬉しそうに振り返ったあと、
一緒にいる早川課長に気付き、一気に冷たい視線に変わる。



そんながっちゃんを今まで見たことがなかったので、
少し怖さを感じつつ、
早川課長を伺うと、もっと険しい顔で怒りを抑えている。


「なんでお前が中森さんの家の前にいるんだ。」



静かに低くドスの聞いた声で、早川課長はそう口を開く。