なんだかんだキリの良いところまでと思い
仕事に取り組んでいると、なかなかいい時間になってしまった。


気づくとオフィスには私1人だ。


早川課長には昨日目立ちたくないということを伝えていたので、今日は穏便に過ごし、だいぶ前に帰っていった。


ほっとした思いもありつつ、
今日はあんまり早川課長と喋れなかったなと
少し残念な気持ちだ。



我ながらわがままな自分に苦笑いしてしまう。



私はさっさと身支度を済ませると会社を出た。



すると…



「梓、お疲れ様。」


後ろから声がかかる。



私がびっくりして振り返ると、
ずっと前に帰ったと思っていた早川課長が立っている。


「え!早川課長!?
帰ったんじゃ……」



私がびっくりしていると、早川課長は
拗ねた顔で呟く。



「昨日目立ちたくないっていうから大人しくしてたけど、そしたら今日全然喋れなかったから梓が足りなくて……だから待ってた。」



その言葉に、疲れ切った心がほんわか暖かくなる。




「私も…おんなじこと思ってました。」