それからいつもの日常が続き、あっという間に
こたろうグッズ発売日の金曜日になった。
私は少しソワソワする気持ちをおさえつつ、
仕事に向き合う。今日まで頑張ってきたから、
会議が終わりトラブルさえなければ無事定時で上がれるはずだ。
「中森さん。そろそろ行くよ。」
早川課長から声がかかる。
今日の大切な会議は、早川課長と2人での出席なのだ。
「あ、はい!行きます!」
私は今日のために作成し、配布用に刷った資料の山を抱えて急いで準備を整える。
オフィスの入り口を出たところで、早川課長が待ってくれていた。
「すいません!お待たせしました!」
ぺこっと私は頭を下げると、早川課長は手を差し出してきた。
「?」
私はなんだろうと思い、とりあえず握手をしてみる。
すると早川課長はびっくりしたように目を見開き顔をそらす。
「いや、そうじゃない。資料もつ。」
早川課長の一言でハッとする。
