中学校の入学式を終え、真新しい制服に身を包んだ望結は、少し緊張した面持ちで玄関の扉を開けた。
「ただいま」
「おかえり、みゆ。中学校の入学式、どうだった?」
リビングで待っていた美空が、優しい笑顔で娘を迎えた。
「うん、楽しかったよ。新しい友達もできたし」
望結はそう言いながらも、どこか心ここにあらずといった様子だった。
「どうしたの?何か気になることでもあった?」
美空が問いかけると、望結は少し躊躇いながら口を開いた。
「あのね、ママ。入学式に、あの時の男の子がいたんだ」
「あの時の男の子って……小学三年生の時にスーパーで会った?」
美空はすぐに思い出した。オーラの色が見えなかった、不思議な男の子のことだ。
「うん。同じ中学校だったんだ」
望結は、少し驚いた表情で言った。まさか、あの日一度きりだと思っていた少年と、また出会うなんて。
中学校生活が始まり、望結は学校ですれ違うたびに、その男の子を目で追った。
彼はいつも誰かと一緒にいて、楽しそうに笑っている。望結は、彼の周りの色を注意深く観察したが、やはり、何も見えなかった。
他の生徒たちの周りには、様々な感情の色が揺らめいているのに、彼だけが透明なままだった。
月日は流れ、望結は中学3年生になった。
クラス替えの日、新しいクラスの名簿を見た望結は、自分の目を疑った。
なんと、あの色の見えない男の子の名前が、同じクラスにあったのだ。
初めて同じ教室で過ごすことになった望結は、彼をより近くで観察するようになった。
彼は明るく、誰にでも分け隔てなく話す人気者で、いつも多くの友達に囲まれていた。
楽しそうな笑顔、真剣な眼差し、時には少し困ったような表情も見せる。
周りの友達には、彼の言葉や態度に合わせて、様々な色のオーラがキラキラと輝いているのに、彼の周りだけは、依然として無色のままだった。
望結は、彼が一体どんな感情を抱いているのか、知りたくてたまらなかった。
色が見えないということは、感情がないということなのだろうか?そんなはずはない。
楽しそうに笑っているのだから、きっと喜びを感じているはずだ。
なのに、なぜ自分にはその色が全く見えないのだろう。
中学3年生になった望結の心には、再会した色の見えない男の子に対する、大きな疑問と、ほんの少しの特別な感情が芽生え始めていた。
「ただいま」
「おかえり、みゆ。中学校の入学式、どうだった?」
リビングで待っていた美空が、優しい笑顔で娘を迎えた。
「うん、楽しかったよ。新しい友達もできたし」
望結はそう言いながらも、どこか心ここにあらずといった様子だった。
「どうしたの?何か気になることでもあった?」
美空が問いかけると、望結は少し躊躇いながら口を開いた。
「あのね、ママ。入学式に、あの時の男の子がいたんだ」
「あの時の男の子って……小学三年生の時にスーパーで会った?」
美空はすぐに思い出した。オーラの色が見えなかった、不思議な男の子のことだ。
「うん。同じ中学校だったんだ」
望結は、少し驚いた表情で言った。まさか、あの日一度きりだと思っていた少年と、また出会うなんて。
中学校生活が始まり、望結は学校ですれ違うたびに、その男の子を目で追った。
彼はいつも誰かと一緒にいて、楽しそうに笑っている。望結は、彼の周りの色を注意深く観察したが、やはり、何も見えなかった。
他の生徒たちの周りには、様々な感情の色が揺らめいているのに、彼だけが透明なままだった。
月日は流れ、望結は中学3年生になった。
クラス替えの日、新しいクラスの名簿を見た望結は、自分の目を疑った。
なんと、あの色の見えない男の子の名前が、同じクラスにあったのだ。
初めて同じ教室で過ごすことになった望結は、彼をより近くで観察するようになった。
彼は明るく、誰にでも分け隔てなく話す人気者で、いつも多くの友達に囲まれていた。
楽しそうな笑顔、真剣な眼差し、時には少し困ったような表情も見せる。
周りの友達には、彼の言葉や態度に合わせて、様々な色のオーラがキラキラと輝いているのに、彼の周りだけは、依然として無色のままだった。
望結は、彼が一体どんな感情を抱いているのか、知りたくてたまらなかった。
色が見えないということは、感情がないということなのだろうか?そんなはずはない。
楽しそうに笑っているのだから、きっと喜びを感じているはずだ。
なのに、なぜ自分にはその色が全く見えないのだろう。
中学3年生になった望結の心には、再会した色の見えない男の子に対する、大きな疑問と、ほんの少しの特別な感情が芽生え始めていた。
