わたしは、握り締められた凪の拳に手を添えた。
すると凪は、ハッとしてこちらを向いた。
「わたしも一緒に行くから。」
わたしがそう言うと、凪は少し表情を緩ませ「うん、ありがとう。」と言った。
その後、凪のお母さんはいつも通院している総合病院に転院し、担当医の藤枝先生が再度お母さんの精密検査を行なった。
すると、肺周辺の骨への転移の他に脳への転移も確認され、藤枝先生からは「脳へ転移してしまうと、更に身体が不自由になってきます。今回転倒したのは、脳への転移が原因かもしれません。骨への転移が進むと痛みも出てきますし、脳へ癌が転移すると人格も変わってきてしまう恐れがあります。大変申し上げにくいですが、あと、、、長くても2〜3ヵ月だと思っててください。」と告げられてしまった。
それから、凪のお母さんはホスピスと呼ばれる、これから最期を迎える人たちが入院する病棟へ移った。
お母さんの前では、泣くのを我慢していたが、凪の家に二人で一緒に帰宅したわたしたちは、帰宅すると共に抱き合って泣いた。
凪のお母さんの余命が、あと2〜3ヵ月だなんて、、、
わたしは、家族に先立たれる悲しみ、ツラさをよく分かっている。
でもわたしの場合は突然のことだった。
しかし、凪の場合は、弱っていくお母さんを見ていかなくてはいけないことになる。
大切な人が弱っていく姿を見ること程、ツラいことはないと思う。
わたしが凪を支えなきゃ。



